早稲田の杜にタムロしていた五匹のザリガニ -- 新田和長、武藤敏史、内山修、吉田光夫、常富喜雄 -- いずれも早稲田大学の学生であった。
 1967年夏、早稲田大学フォークソング・クラブ(WFS)の合宿が新潟県燕温泉で行われた時のこと...
 ひとかけらの砂糖に蟻がむらがるように、「海は恋してる」という曲に引き寄せられて、歌の好きな五人の若者が集まった。勿論、まだグループの名前とてなく、ただ歌を唄い、ギターをかきならす毎日 -- 。
 ある時は教室の片隅で、またある時は静かな山間で、せせらぎを背に練習に励んでいた。
 そんなある日、まるで我々の歌にきき入るかのように、一匹のザリガニが田んぼの中にうずくまっていた。格好がいいとはお世辞にも言えない一匹のザリガニに、妙に心惹かれるものがあった。
 この一匹のザリガニが、「ザ・リガニーズ」というグループ名誕生のきっかけになった。そして、学業の合間に、大学周辺の喫茶店に集い、ギターを弾き、時には音楽論に、芸術論に、口角泡を飛ばしながら、カレッジ・ポップスを代表するグループとして、活動を続けていたのである。

 1970年3月、「ザ・リガニーズ」の名前をWFSの後輩バンド「エ・ビガニーズ」が引き継ぎ、それをきっかけに、我々五匹のオリジナル・ザリガニはそれぞれ独自の道を歩み始め、それに没頭し邁進してきた。
 全く時の流れは早いもので、気がついてみれば2010年。この「ザ・リガニーズ」の公式サイトより、我々ザリガニ一同、何らかの情報を発信できればとの思いがある。


ザ・リガニーズの横顔
1968〜1970
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